ぶたのひとり言

趣味のことなどいろいろ書いたりです。 この日記も整理中なので内容とか表現を変えるかもです。

マイマイ新子と千年の魔法(ネタバレあります。)



周防国府の遺跡もある昭和30年代の山口県防府市が舞台です。
新子は赤毛のアンのような想像好きで活発な女の子で
都会から来た裕福な子供の貴伊子と
だんだん仲良くなっていくというという物語です。
(ハイジ+赤毛のアンという感じですか?)


かわいい妹や思いやりのある家族にかこまれ
自然の中を飛び回ってへんな人を想像したり、
祖父からその土地に伝わる歴史や
いろんな話を聴きながら、
遺跡をみて平安時代まで思いを馳せるのです。
新子は赤毛のアン赤毛を気にするように、
自分の前髪の部分につむじが
あるのを気にしているのですが、
彼女はかなり前向きで想像力豊かで、
なんでも楽しむ性格があり、
そのつむじは想像力を働かせると敏感に
反応するようになっているということになってます。
(ゲゲゲの喜多郎のアンテナのように)


新子のオープンな性格のおかげで
最初周囲にとけこみづらかった貴伊子も心を開いて行き、
また、男の子たちとも仲良くなります。
ダムを作ったり、金魚に大好きな女の先生のあだ名をつけたり、
防空壕を探検したり、毎日が新しい発見の連続です。


新子の想像の中では平安時代世界でも諾子という
この土地に来たばかりの
ひとりぼっちの女の子が友情を求めています。
大人に怒られても新しいステキなことを発見し、
友達と一緒に楽しみたいと思って
います。平安時代の中でも子供は
「いっしょに遊ぼうよ」という友達を求めているのです。


しかし、楽しいことばかりでなく、現実は親がいなかったり、
大人たちにがっかりしたり、死や別れにも直面します。


ストーリーは主に友情の話ですが、
素晴らしいのは子供たちの様子や30年代の田舎の風景が
とてもリアルで細かい描写までがゆきとどいていて、
そのにおいや質感や空気まで伝わってきそうです。
見ている方は大人でも(大人なら子供に帰って)
子供でもその風景の中で、
子供たちと一緒に遊んでいるような気分になれます。
たとえ実際の経験は少々違っていても、
自然の現象を生き物に投影したり、
子供にかえって、麦畑のなかを走ってみたり、
ポン菓子にどきどきしたり、
ダムを作って遊んでいる気持ちになります。


毎日が新しく、わくわくしていたあの感じ、
大人の事情や現実に直面しながらも、
それらを吸収して明日への希望を見出す、
子供のときに感じていた未来への希望や
エネルギーを再体験できる作品です。