ぶたのひとり言

趣味のことなどいろいろ書いたりです。 この日記も整理中なので内容とか表現を変えるかもです。

『謎のカスパー・ハウザー』種村季弘著 河出書房新社


同居人の後輩から借りっぱなしになって
長い間本棚に眠っていた(ごめんなさい)本です。
昔、関連本を読んだ事があって、
それは当事者であったフォイエルバッハ氏の手記でした。
(「カスパー・ハウザー」福武書店


舞台は19世紀初頭のドイツ。
ニューンベルクの町にある日16歳ほどの少年が
突然手紙を持って立っています。
彼は「カスパー・ハウザー」と名乗り、
満足にしゃべることも歩くことも出来ませんでした。
彼は保護され、注目の的となり、教育をうけますが、
結局本当は誰なのか、誰にも真実を語られることもなく、
5年後に何者かによって暗殺されます。
彼の曖昧な記憶やもと身分の高い人らしい徴候から
彼は王家の陰謀の犠牲者であるという見方が有力です。


フォイエルバッハ氏の手記の方は彼の異常な育ち方からくる、
精神的、肉体的影響について、当事者の1人として、
また保護者としての観点から記録したものでしたが、
今回の本は種村氏は様々な文献から彼がなぜ現れ、消えたのか、
彼をとりまく時代や人間の利害関係について、
また初めは赤ん坊のようであった「カスパー・ハウザー」が
自我にめざめるにあたってどのように変化していき、
周囲との関係を変化させていったか、
現代人の立場から推理も含めてもうすこし広い目で分析しています。